浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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「知識と専門性、情熱を兼ね備え、人間的に温かく、音楽に純粋な集団です」〜音楽監督・佐藤俊介、オランダ・バッハ協会の魅力を語る〜2019年9月末から10月初めにかけ、全国5都市で日本公演を行うオランダ・バッハ協会の音楽監督を務めるヴァイオリニストの佐藤俊介に4月5日、インタビューを試みた。私がドイツ・ヴィルヘルムスハーフェンのホテルから、オランダのデン・ハーグ駅で待機している佐藤に時間指定で話を聞く風変わりな状況。だが佐藤の語りくちは、あたかも眼前にいるように飄々&闊達だった。オランダ・バッハ協会は2008年2月に日本ツアーを行って以来、足が遠のいており、2018年に佐藤が引き継いでからは初めての来日となる。聴衆の大半にとって未知の団体かもしれないので、まずはチームの特色を語ってもらった。「知識と専門性、情熱を兼ね備え、ほとんど全員が僕より年上です。彼らの年季や経験に加え、純粋に音楽を人生と考える姿勢が素晴らしい。人間的にもやりやすく、温かい音色がします。僕が『ちょっと変わったことをやってみよう』と、ワークショップや異なるジャンルとの交流などのリスクを冒そうとしても、音楽的に裏付けのある内容であれば認め、楽しみながら高水準の演奏をすぐに実現してしまう凄腕集団でもあります」老舗の古楽演奏団体としての存在感の大きさを実感しています。僕がやるべきは曲目、共演者、演奏会のスタイルなど、それぞれのポイントで『今の形のままでいいのか』と、問いかけることです。今の世界の政治、経済、社会のあらゆる場面に問題が生じているなか、音楽が果たせるポジティブな役割とは何かを絶えず考えています。具体的には子どもや学生に対するレッスン、コーチングを日常の活動に組み入れるところから始めますが、もっと大きいことを発想、全く新しいプラットフォームに載せてみたいとも、夢みています」今回の日本ツアーのプログラミングはもちろん、大バッハ=ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品が中心だが、友人のピゼンデル、ドレスデンにいたフランス人のフラウトトラヴェルソの名手ビュファルダン、作曲の弟子でもあり若くして亡くなったザクセン=ヴァイマール公ヨハン・エルンスト、さらにヴィヴァルディら、バッハに直接間接の影響を与えた人物の作品を交えた。「バッハ周辺の人間関係まで、可視化するプログラムです。とにかく、聴きにいらしてください!」と、佐藤は強い意気込みとともに呼びかけた。具体的には、どのような新機軸を音楽監督として打ち出していくのだろうか?「就任してみて改めて、ヨーロッパでも(池田卓夫音楽ジャーナリスト@いけたく本舗)3


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