浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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Interviewアレクサンドル・タロー各19:0010/8(金)発売各¥6,0002公演セット券¥11,00011/17(水)11/19(金)Vol.1「エリック・サティ」Vol.2「リサイタル」エリック・サティをテーマにしたスペクタクルとロマン派作品によるリサイタルこの秋、新型コロナ禍も収束していて欲しい2021年11月に、世界的に注目を集めるフランス人ピアニスト、アレクサンドル・タローが、実にユニークなプログラムを2つ携えて、浜離宮朝日ホールに初登場する。ロマン派作品による「リサイタル」と、フランス作曲界の異端児と言われるエリック・サティの、ピアノ作品、歌と著作の抜粋を交差させたスペクタクル「エリック・サティ」である。フランスでは、アフター新型コロナ禍の新しい形を模索しながらもほぼ通常通りの演奏会が行われている。オンラインでのインタビュー当日も、タローは南仏モンペリエでの公演からパリの自宅に帰って来たところで、荷を解く間もなく優しい笑顔でPCの画面に登場した。「約2年ぶりに、やっと日本に行けることがとても楽しみです。新型コロナ禍中の長い間、日本が恋しかったから!ピアノ・リサイタルのプログラムは、前半は今年11月にリリースされるシューベルト作品のCDから選びました。CDの収録曲は、〈即興曲〉Op.90全曲、〈楽興の時〉、そして〈ロザムンデ〉を私がピアノ用に編曲した版です」「ロザムンデ」とは、同名の劇付随音楽から抜粋した4曲から成る組曲のこと。若い頃指揮を勉強するために巨匠ジャン・フルネに師事したこともあるタローの、思慮深い編曲が聴きどころである。「久しぶりの日本でシューベルトを弾きたいと思ったのですが、それに合うリサイタル後半の曲目は何が良いかと思案し、リストとショパンを思いつきました。リストとショパンの音楽は、より演劇的です。そして、シューベルトの音楽に内在する“演劇性”と“狂気”が、彼らの作品にあると考えたのです。リストの〈葬送〉は素晴らしい曲ですが、それがショパンのソナタ第2番〈葬送〉の“前奏曲”になり得ると思います。というのも、リストの〈葬送〉は、まるで本当のお葬式を表現しているようで、たくさんのドラマがあります。それに対してショパンの〈葬送ソナタ〉の方は、やはり“死”を主題にしていますが、空の向こうのあの世の“死”を描いていると思うのです。このプログラム全体で、ロマン派のエスプリ(精神)の構成要素をすべて含んでいると自負しています」2


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