浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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©MarcoBorggreveスペクタクル「エリック・サティ」については、みるみる高揚したタローが、筆者に熱く語った。「私はとても長い間、サティの音楽を弾いてきました。20年前にはブリュッセルで、今回一緒に来日する歌手ジャン・ドゥルクルーズとベルギー人の役者とで、すでに歌と演劇と音楽というスペクタクルを開催しています。その後、サティ作品のCDも2枚リリースしました。私にとって重要なのは、サティがいかに偉大な音楽家、作曲家であるかを、みなさんに知ってもらいたいということです。サティはユーモアに溢れていましたが、それだけではなく発明家でもありました。ピアノの弦に紙を挟んだり、同じフレーズを反復してみたり、色々なことを試した最初の人でした。みなさまには、このスペクタクルで、サティが持つさまざまな側面の全貌を“耳で聴いて”“目で観て”理解してもらえると確信しています。“スペクタクル”の実際の内容としては、サティのピアノ曲、サティの書き残した文章(著作からの抜粋)、(クラシカルな)歌曲、そしてシャンソンで構成されています。歌曲とシャンソンは、基本的には各ジャンルの専門歌手が歌うものですが、ジャン・ドゥルクルーズは両方とも見事に歌えるのですよ。ジャンはとてもユーモアがあり、この企画にうってつけの声の持ち主です。実は軽い音楽とは無縁だった人で、元々はバッハやシューベルトの歌曲を得意とするテノール歌手なのです。世界中で、日本ほどたくさんの素晴らしいホールがある国はありません。とりわけ音響的に優れていますね。そしてこのたび、私にとって初めての浜離宮朝日ホールを、新たに発見できることは大いなる喜びです。みなさん、ぜひ11月にお会いしましょう!」取材・文/野平多美(作曲家・音楽評論家)3


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