浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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で、呼吸が合いやすいと感じています。バッハ=クルターグによる1台4手の『7つのコラール』はとても親密な世界で、そこから武満の“空気の中に入って、空気の中に出ていくような”短い『雨の樹素描IIーオリヴィエ・メシアンの追憶にー』につながり、ラヴェルのブリリアントな『ラ・ヴァルス』、そしてメシアンの『アーメンの幻影』が続きます」第2日目(12月3日)はメシアン畢竟の大作にして、児玉が何度も取り上げてきた約2時間にもおよぶ「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」が選曲された。「20曲からなるひとつの旅のような作品です。メシアンはオルガン奏者、ピアニスト、作曲家、鳥類学者、教育者で、独自のリズムや旋法も発明しましたが、『まなざし』にはそれらすべてのエッセンスが入っています。カトリックの信仰に基づく曲ですが、温かみがあり、詩的な側面もあります。各曲冒頭に書かれたメシアンによる短い説明もとてもイメージをかき立てます。メシアンの魅力は響きの美しさと広がり、リズムのおもしろさで、まるで大地から出てくるようなリズム感も特徴的です」シリーズの最後を飾る第3日目(12月10日)は名手たちとの共演で、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番と、メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」が中核となる。「何度も共演しているヴァイオリンの竹澤恭子さんはパワフルな演奏をなさいますが、言葉でも明確に説明してくださる音楽家なので、リハーサルがとても楽しいです。クラリネットの吉田誠さんは以前プーランクのソナタでご一緒しましたが、イマジネーションが豊かでフランス的な音色をお持ちです。ミヨーの『ヴァイオリンとクラリネットとピアノのための組曲』は明るく楽しい作品で、パリのエスプリが表現できると思います。チェロの横坂源さんは今回初めてご一緒しますが、繊細な音色が魅力的な方ですね。平和の象徴であるメシアンのピアノ曲『鳩』で始まり、祈りを示唆する『世の終わりのための四重奏曲』で終わるプログラムです。『世の終わり〜』ではピアノが色彩や雰囲気を出す役割を担いますが、ショスタコーヴィチのトリオは、クラシカルな対話が魅力だと思います」これまでたびたび演奏してきた浜離宮朝日ホールで弾くのも楽しみだという。「ホールの入り口からさわやかな風や光が感じられますし、内装や楽屋も明るく、フレッシュな空気が満ちているように思います。響きもクリアですので、メシアンの音楽ならではの、自然の空間の中で聴衆を包み込むような響き、明るさとピュアな心をお客さまに伝えることができたら、と願っています」取材・文/伊藤制子(音楽評論家)鈴木優人©MarcoBorggreve竹澤恭子©松永学横坂源©TakashiOkamoto吉田誠<児玉桃(ピアノ)×鈴木優人(ピアノ)>11/26(土)14:00ライヒ:クラッピング・ミュージックJ.C.バッハ:2台のチェンバロのためのソナタ(二重奏曲)ト長調Op.15,No.5,W.A21J.S.バッハ(クルターグ編):「7つのコラール」より抜粋武満徹:雨の樹素描Ⅱーオリヴィエ・メシアンの追憶にーラヴェル:ラ・ヴァルスメシアン:アーメンの幻影<児玉桃ピアノ・リサイタル>12/3(土)14:00メシアン:幼子イエスに注ぐ20のまなざし(全曲)<児玉桃とヴィルトゥオーゾたち>12/10(土)14:00OlivierMessiaen'sBirthday(1908.12.10〜1992.4.27)共演:児玉桃(ピアノ)竹澤恭子(ヴァイオリン)横坂源(チェロ)吉田誠(クラリネット)メシアン:8つの前奏曲集より第Ⅰ曲「鳩」ミヨー:ヴァイオリンとクラリネットとピアノのための組曲ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番メシアン:世の終わりのための四重奏曲各¥6,0003公演セット券¥16,0009/10(土)発売3


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