浜離宮朝日ホール|朝日ホール通信

1992年オープンの室内楽専用ホール。特にピアノや繊細なアンサンブルの音色を際立たせる設計でその響きは世界でも最高の評価を受けています。


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ネルソン・ゲルナーピアノ・リサイタル冴えた技巧で描き出される詩情をたたえた音風景©MarcoBorggreve1969年生まれのネルソン・ゲルナーがジュネーヴ国美を誇る作品でも、弾き手の主観を過度に交えることな際音楽コンクールで1位を獲得したのは1990年、弱冠く、音響の動きそのものの面白さに光をあてて、いくぶん21歳の頃のことだった。以後、彼は国際的な活動を続けひんやりとした、それでいて詩情をたたえた音風景を描ており、来日公演においても高い評価を得てきた。加えきだす。これらのことが強い説得力と共に実現されるとて最近では商業録音にも積極的な姿勢をみせ、ベートーいうのは、稀なことなのだ。ヴェンからアルベニスまで広範なレパートリーを手がけそうした美点は、もちろん技巧的かつ革新的なリストて、完成度の高い演奏を披露しており、ますます目が離の作品に好適であろう。しかし忘れてはならないのは、せない存在となっている。同時に彼がショパンの音楽に特別な愛情を注いでいる彼の魅力はどのへんにあるのか。まず挙げるべきは目ことだ。ショパンを弾くときのゲルナーは、力強く引き締覚ましいばかりに冴えた技巧であろう。ゲルナーはリスまった響きはもちろんながら、そこにハッとするような強トやドビュッシーなど、ピアノ奏法の極限を行くような作弱のニュアンスを載せた、洗練された歌い口をみせて聴品をしばしば採り上げて、技巧的な難所を易々と弾きこき手の心をつかむ。その自在感は、まさにショパンの音なしてみせる。しかもその響きは常に磨き抜かれていて、楽にふさわしい。力強く楽器を鳴らす場面でも、また軽やかに音符を飛翔ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして、また洗練されたさせる場面でも、常にある種の透明感を感じさせるのがショパン弾きとして円熟期を迎えつつある現在のゲル驚異的だ。かといって彼の奏でる音楽は、ミネラルウォーナーの芸術を聞き逃す手はなかろう。ターのように無味無臭のものではけっしてない。鳴らした音を立体的に再構成して、鮮やかな陰翳を施し、標題性の高い音楽ではその物語を、純粋な器楽作品ではその構築美を聴き手にストレートに伝える。その中で彼は、ロマンティックな気分に満ちた作品でも、近代的な音響相場ひろ(音楽ライター)2023.1/15(日)14:00¥7,0009/16(金)発売ショパン:4つのバラードリスト:ピアノ・ソナタロ短調5


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